ターボルミナンスは、一時的に画面輝度とコントラストを最大値まで引き上げ、識別できるグレースケール階調を拡大させる機能です。低コントラストの病変を見つける必要があるマンモグラフィや胸部画像診断などに貢献します。
■特長
本機能の一番の特長は、単に輝度のみを上げるだけではなく、医用画像表示に求められるDICOM GSDFカーブを維持したまま輝度を上げることで画質性能の劣化無しに高輝度・高コントラスト化を同時に実現したことです。
■開発背景
White Paper「デジタルマンモグラフィ診断における医用画像表示モニターの高輝度・高コントラスト化の優位性」で解説したように、高輝度・高コントラスト化は、画像診断において視覚的なダイナミックレンジ(明暗差)を拡張するというメリットがある一方、カラーモニターは、液晶パネルの構造上モノクロモニターほどの高輝度を実現することはできません。そのため、通常カラーモニターの最大輝度は、液晶パネルの経年劣化を考慮して液晶パネル性能の最大値より低い値に設定されています。
そこで当社は、診断効率の向上を目的に、カラーモニターでありながら輝度を一定時間のみ液晶パネル性能の最大値に近い1000cd/m2程度まで上げる「ターボルミナンス機能」を開発しました。
■ターボルミナンスの効果比較
「ターボルミナンス機能」の効果を検証するため、①通常設定時(図1)、②輝度のみを最大化した設定時(図2)、③「ターボルミナンス機能」ON時(図3)のコントラスト応答の測定を行いました。
①通常設定時(図1)は、当然のことながらDICOM GSDFカーブを忠実に再現しているのに対して、②輝度のみを最大化した設定時(図2)は輝度が高くなるにつれて、偏差値が徐々に大きくなっています。つまり、DICOM GSDFカーブから離れ、ガンマ特性の劣化が見られます。
一方で、③「ターボルミナンス機能」ON時(図3)は①通常設定時と同様にDICOM GSDFカーブの維持と輝度の最大化を同時実現しています。
図1 ①通常設定時
目標の黄色線のガンマカーブに対して
計測結果「●」はほとんど偏差がない
図2 ②輝度のみを最大化した設定時
目標の黄色線のガンマカーブに対して
計測結果「●」と偏差がある
図3 ③「ターボルミナンス機能」ON時
目標の黄色線のガンマカーブに対して
計測結果「●」はほとんど偏差がない
※JND:人間の目が知覚できる最小の輝度差のこと。
■まとめ
以上の結果により、「ターボルミナンス機能」は、DICOM GSDFガンマカーブを維持したまま、高輝度・高コントラスト化を実現し、医用モニターに求められる表示特性を維持したまま識別できるグレースケール階調の拡大を実現したと言えます。これにより、従来のモニターと比較した場合に病変部の見え方を改善し、イニシャルピックアップ(気づき)と読影効率改善に寄与します。