サブピクセル独立ドライブテクノロジー
(Independent Sub pixel Drive Technology)

サブピクセル独立ドライブ
テクノロジー
(Independent Sub pixel Drive Technology)

JVC独自のサブピクセル独立ドライブテクノロジー(特許第4773522号)は、従来1つの画素として駆動し表示していた3つのサブピクセルをそれぞれ独立駆動することにより、超高精細表示を実現した技術です。


■特長
 

・水平方向(サブピクセル方向)の画素ピッチが1/3になることにより解像度(MTF)が向上し、高精細な画像表示が可能です。

・画像情報欠落の少ないより原画像に忠実な表示が実現します。

・一般モノクロームLCDの画素構造に変更が無いため、従来と輝度・コントラスト特性が変わりません。

・1276階調同時表示による高精度なグレースケール表示も実現しています。


■開発背景
 

・望まれていたディスプレイの高解像度化


モダリティ機器の高解像度化が進み、出力される画像は、ピクセルサイズが25μm~100μm、画素数は4MP~67MPとなっています。一方、ディスプレイで最大の画素数は5MP、ピクセルピッチは165μmであり、モダリティ機器の解像度に比べ大きく劣っている状況となっていました。


代表的なマンモモダリティシステムと5MPディスプレイの解像度

マンモモダリテイシステム ピクセルサイズ(μm) 画素数(ピクセル)
A 50 3540 × 4740 (16.77MP)
B 25 7080 × 9480 (67.12MP)
C 100 1914 × 2294 (4.39MP)
D 70 2560 × 3328 (8.52MP)
5MPディスプレイ 165 2048 × 2560 (5.24MP)

ディスプレイの画素数より大きな画素数の原画像を全体表示する場合にはビューワーで原画像を縮退して表示する必要があり、画像情報の欠落が発生します。また、全画像情報を表示させようとした場合には、画像の一部分しか表示できません。下図は、原画像の31%の画像情報量しか表示出来ていない例です。

 このような状況から、高解像度化が進む医用画像に対して5MPのディスプレイでは、十分な画像情報が提供できていないと言え、さらなるディスプレイの高解像度化が望まれていました。しかしながら、5MP以上の解像度の液晶パネルは製造コストが高く製作が困難でした。

原画像がディスプレイの表示画素数より大きい場合の表示イメージ。縮退で、31%の画像情報しか表示できない。

■サブピクセル独立ドライブテクノロジー(ISD)の開発
 

従来のモノクロームディスプレイは、3つのサブピクセルを1つの画素として駆動し表示していました。 当社が開発したサブピクセル独立ドライブテクノロジー(ISD)は、この3つのサブピクセルをそれぞれ独立駆動することにより超高精細表示を実現する技術であり、 サブピクセル独立ドライブアルゴリズムを組み込んだディスプレイと専用ビューワーで構成されます。下の図は、その概念と表示画像の比較写真です。図のように、サブピクセルを独立してレンダリングすることで高精細な表示が可能になります。


サブピクセル独立ドライブの概念図と3本の微細なラインの表示による画質の比較


■画質改善効果
 

写真は、一般の5MPディスプレイとサブピクセル独立ドライブテクノロジー(ISD)を搭載したMS-S500の表示画像の比較写真です。サブピクセル独立ドライブテクノロジー(ISD)搭載のMS-S500の表示では細部の描画や辺縁のスムーズさに優れています。マンモ画像では微小石灰化部の形状をよく描出しているのが分かります。

 グラフは、鮮鋭度評価(MTF試験)の結果です。試験は同じ5MPのLCDパネルを使用した一般の5MPディスプレイとサブピクセル独立ドライブテクノロジー(ISD)を搭載したMS-S500のデータを取得しました。グラフが示すように サブピクセル独立ドライブテクノロジー(ISD)を搭載し、サブピクセルを独立してレンダリングするMS-S500の鮮鋭度が著しく高くなっています。

 さらに当社では、複数の大学病院などの医療機関において、放射線科医によるMS-S500と一般の5MPディスプレイとの臨床的な比較評価を実施しており、MS-S500の優位性が認められる結果を得ています。

一般の5MP 当社の5MP 比較画像

鮮鋭度評価(MTF試験)の結果のグラフ

■まとめ
 

医用画像表示用ディスプレイの画質は、輝度・コントラスト・視野角・グレースケール表示特性の面では改善がされてきているものの、解像度向上面では前述のようにコスト的に困難な状況でした。

サブピクセル独立ドライブは、大幅なコストの上昇を抑えつつ解像度の大幅な向上を実現するテクノロジーであり、ソフトコピー診断の発展に寄与が期待できます。


搭載機種


モノクローム 2MP MS-S200
3MP MS-S300
5MP MS-S500MS-S500 Dualstand