雑学コラム

ヘッドホン・イヤホン豆知識 vol.7

カナル?オープンイヤー?イヤホンの「カタチ」<第2回> 

雑学コラム ヘッドホン・イヤホン豆知識 vol.7

カナル?オープンイヤー?イヤホンの「カタチ」<第2回>


2021 May

こちらのコラムでは以前 イヤホンの「カタチ」は大きく3つのタイプに分けられると説明しました。確認しておくと、

 

●スタンダード型:イヤホン本体がすっぽりと耳にはまる形。いちばんスタンダードなタイプなので選択肢が多い。

●スティック型:耳の外に伸びるスティックを備えた形。スティックの先にマイクを設置できるの通話性能を高めやすい。

●フック型:耳の上にかけるイヤーフックを備えた形。装着が安定するのでスポーツ型での採用例が多い。

 

という感じでしたね。
 

 

ですが実は、イヤホンのカタチには、それとは別の視点からの分け方もあります。耳をしっかり塞ぐ「カナル型」と、逆にほとんど耳を塞がない「オープンイヤー型」です。

 

●カナル型:イヤホン本体にシリコン製などのイヤーピースを取り付け、そのイヤーピースを耳の穴にしっかり押し込んで耳を塞いで装着する形。耳栓のように周りの音を遮る、遮音効果が高い。

●オープンイヤー型:イヤホン本体を耳のくぼみに引っかけるように装着する形。耳の穴を隠しはするが隙間が大きいので、周りの音をほとんど遮らない。

 

外見からもはっきりわかる違いは「イヤーピースの有無」になります。

 

例えば「HA-A7T」と「HA-A8T」は、イヤホン全体のカタチとしてはどちらもスティック型ですが、耳に入れる部分にだけ注目するとHA-A7Tはカナル型、HA-A8Tはオープンイヤー型。A7Tの耳に入れる部分には柔らかなシリコン樹脂のイヤーピースが使われていますが、AT8のその部分は硬質な樹脂です。

 

そしてそういった違いから、カナル型とオープンイヤー型にはそれぞれの長所と短所があります。

 

カナル型の長所は、第一 に遮音性です。耳栓のような形から期待される通りに周りの音を遮ってくれます。電車内や街中など騒がしい環境でも音楽に集中しやすい、音楽を聴き取りやすいことは大きな強みです。

 

装着感の面にも長所があります。ユーザーが自分の耳に合ったサイズのイヤーピースを選んで使えることです。適切なサイズを選ぶことで、装着感と遮音性を共にベストな状態にできます。

 

一方で短所としては、周りの音も聞きたいときには遮音性の高さが邪魔になる、耳に押し込む装着感がそもそも苦手な人もいる、というところがすぐに思い浮かぶことでしょう。

 

加えて、耳を塞いでいるので自分の声が自分の頭の中に響いてしまうことも、場面によっては弱点になります。電話やトークアプリ、リモート会議などでの通話時に、そのせいでしゃべりにくいと感じる方もいるかと思います。

 

ということは逆に、オープンイヤー型の長所はそこ。耳を塞いでいないので自分の声が響いてしまうことはなく、オープンイヤー型の方がしゃべりやすく感じる方も多いことでしょう。

 

遮音性のなさも場面によっては長所になります。オープンイヤー型なら周りの音も自然に耳に入ってくるので、例えば通話時に宅配便が来たりしても気付きやすいなど、「ながら作業」が必要になりがちなテレワークとの相性も良好です。

 

もちろん遮音性の低さは騒がしい場所では短所になりますし、イヤーピース 交換でのサイズ調整ができないので、耳に合う合わないという装着感の相性は出やすいかもしれません。

 

つまりカナル型にせよオープンイヤー型にせよ、ある特徴が場面によっては長所になり、別の場面では短所になったりもするということですね。
 

 

イヤホン選びの際には、自分がイヤホンを使う場面を想像して、そこにはカナル型とオープンイヤー型のどちらがフィットするかを考えてみるのがよいでしょう。



Profile


高橋敦
Takahashi Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。
趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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