2022 February
趣味のアイテムのいわゆる「ハイエンドモデル」の価格は天井知らずになりがち。一昔前は一万円を超えたら高級機だったイヤホンの世界でも現在、音質を追求する有線ハイエンド機においては、数万円や数十万円の製品も珍しくはなくなっています。
そういった超ハイエンドなイヤホンは実際それに見合うだけの音質を備えていますし、その実現のために採用されている高性能な振動板素材や新規開発の技術がコストアップ要因であることは理解できる……理解できるけどそれにしても高すぎない!?そんな疑問が浮かんだりはするかもしれません。
実際、「一般的な合成樹脂素材の振動板」、「チタンやグラフェンなどによるコーティングが施された振動板」、「ウッドやベリリウムなど素材そのものが一般的なものとは違う振動板」…といったように振動板というパーツのみに着目し、その製造に要する価格だけを比べたら、まったくテキトーな数字ですが例えば、合成樹脂素材のものが10円だとして、後者2つは100円と1000円…みたいな感じで、何万円何十万という最終的な製品価格ほどの差はないのかもしれません。
ですが、採用前例のない新素材を使った振動板の開発には相当の時間と費用がかかります。生産においても、新しい手法の確立や新規設備の導入が必要になるかもしれません。開発が完了して生産ラインが整って以降の製造費とは別に、そこにこぎつけるまでの研究開発費や設備投資費なども、ハイエンド機に採用されるほど高度な新素材や新技術ともなればとても大きなものになるのです。
しかもハイエンドモデルはそういうハイコスト技術の集合体になりがちでもあります。ローコストでハイリターンを得られる効率的な素材や技術はミドルクラスまでの製品にすでに投入済みなので、それよりさらに上を狙うにはハイコストな素材や技術を惜しみなく投入していくしかないのです。トップアスリートが極限的なトレーニングを積み重ねて、自己ベストをわずか1cm、ほんの0.1秒ずつ削っていく姿にも似ているかもしれません。
そういった意味では確かに、コストパフォーマンスに優れるのは1万円くらいまでのイヤホンで、何万円や何十万円もするハイエンドイヤホンは「コスパが悪い」と言えるでしょう。
ですが、音楽を楽しむのはあくまでも趣味。ましてや「もっとよい音で音楽を楽しみたい」というのはさらに趣味全開の話です。そのためのアイテムにおけるコストパフォーマンスの“パフォーマンス”側には、極限的に音質を追求したイヤホンで音楽を聴くからこそ得られる感動や、そのイヤホン自体が漂わせるロマン要素も含まれるのではないでしょうか。
ですから、あなたがそれを求め、そしてそれを与えてくれるハイエンドイヤホンに出会えたのなら、「すごく高価だったけど趣味的観点でのコスパは最高!」と言い切ってしまってもいいのです。
一方でロマンとかではなく普通にコスパの高いイヤホンも、「趣味として無理のない範囲で最高のものを」などのニーズに応えてくれるという意味では、趣味のアイテムとしてこちらもやはり素晴らしかったりします。どの価格帯でもきっと、あなたを納得させてくれる製品を見つけられることでしょう。
高橋敦
Takahashi Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。
趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。
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